タケノコの栽培は非常に奥深いものがあり、施肥といっても一言では語れないのですが、全体的なメカニズムを下記に整理したいと思います。
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タケノコには肥料が必要?
「竹林」や「竹やぶ」などと呼ばれる竹が生えている土地は、最近では管理されていないと、どんどんとタケノコが生え、竹に成長し、密集し荒れ放題になってしまう「竹害(ちくがい)」という問題が全国的に発生しています。
このように、タケノコは竹やぶの中であれば勝手に生えてきて成長するイメージがあるかもしれません。
実際に、肥料をまかなくてもタケノコは出てきます。
しかしながら、タケノコの「量」をたくさん収穫しようとすると竹やぶに肥料を与える施肥(せひ)を行うことが必要になります。
これは、先輩タケノコ農家さんもみなさん同じように仰います。
「肥料はやらなあかん」と。
タケノコ・竹も野菜と同じように植物なので、やはり肥料=栄養があるほど良く育ちそうですね!
肥料をやってなくてもおいしいタケノコが生えてきているなら、肥料をやることでさらにおいしいタケノコが生えてきそうです!
タケノコ生産を増やすためのメカニズムとは?
上述したように、肥料をやるとタケノコの生産量は上がりそうですが、なんでなのか?
そこで、タケノコが生えてくるメカニズムを調べて考えてみました。
一般的な野菜は、
「種」を撒いて、「芽」が出て、成長して「葉を増やしたり」「実がなったり」します。
一方タケノコは、
「竹の地下茎」から、「芽子」が出て、成長して「タケノコ」になり、「竹」になります。
こう見ると、野菜の収穫量を増やすためには、たくさん「種」をまいて、出てきた芽を成長させることを考えれば良さそうです。
しかしながら、タケノコが生えてくる種はありません。タケノコがたくさん生えるためには、「竹の地下茎」から「芽子」がたくさん出てくるよう促す必要がありそうですね。
この、「芽子」とはいわば「竹の子供」のようなもの。タケノコも「竹の子」と書いたりもしますしね!
竹が元気な状態であると、子どもであるタケノコも出てきそうです!
竹やぶへの施肥にはどんな効果があるの?
施肥をおこなうことで、竹の葉に活力を与えて光合成(同化作用)を活発に行わせることにより、養分を作らせます。
地下茎へ同化養分がたくさん流れるようになることで、芽子の形成数が増加し、タケノコがたくさん生えることにつながります。
もちろん、養分がたくさんあるほうが、味も良くなります!
少し生物的な専門用語が難しかったかもしれませんが、要は
「竹やぶに肥料をやると、竹が元気になって、タケノコがたくさん生える」
ということです!
タケノコの肥料ってどんなものを与えればいいの?
肥料については、またまた野菜と比べながら見てみましょう!
一般的な野菜の栽培に必要な栄養成分は、特に重要な下記3種があります
窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K) 略してNPK!
「肥料の三要素」とよばれるこの成分は、要素ごとに効果が異なります!
窒素 ⇒葉っぱの成長を促す!
リン酸 ⇒花を咲かせ、実をつけることを促す!
カリウム ⇒根っこの成長を促す!
葉っぱを食べる野菜、実を食べる野菜、根っこを食べる野菜など、野菜の種類によって成長させたいところは違いますよね!
そこで、どの部分を成長させたいかによって、3要素の配合が異なるさまざまな種類の肥料が販売されています~Σ(・□・;)
葉物野菜は、葉っぱ育てたいから「窒素」多め~
根菜は、根っこ育てたいから「カリウム」多め~ など、
各要素NPKの配合比が数字で示されています! NPK=1:3:6 など
タケノコ・竹の栽培に必要な要素は、↑で出てきたNPKの他、ケイ酸を加えた四要素が重要になってきます。
この四要素で中心となるのは「窒素成分(N)」で、短期間での竹の成長や急激なタケノコ肥大などの重要な働きを担っています。
また、一般的な野菜にない要素である「ケイ酸」は、竹の耐寒・耐暑、耐病虫害などの抵抗力を高め、竹を強くします。
「竹はシリカが入っとるけん、硬い~」とか「シリカがあるけん加工するのに工具が傷む、燃料にしたときにボイラーも傷む」といった話を本職の加工業のほうで良く聞きます。
よく言われるシリカというものは、さっき出てきた肥料の要素「ケイ酸」の化合物なんです!他の作物にない、竹の特別な成分というもの頷けますね(^^)
そして、窒素が大事!ってことは、竹・タケノコは野菜でいうと「葉物野菜」ですね~(根菜っぽいけど)
そんな特別な肥料どこにあるの?
ケイ酸とか特別なのが入った肥料なんてどこにあるんだろう!?
心配は無用です!
タケノコ栽培には、タケノコの栽培に特化した専用の肥料が農協さんなどで販売されています!
20kg入りの袋でドーンと販売しています!
というのも、結構な量をまきます。このくらいで仕入れを行いますよ~
↓こんな感じでどんどんと肥料まいていきますので!
有機栽培にも取り組んでいます!
施肥としては、竹に必要となる特殊な要素などの兼ね合いもあり必要に応じて化成肥料を施肥します。
しかしそれだけでなく有機栽培・いわゆるオーガニックな農法にも取り組んでいます。
植物性のたい肥を併せて用いることで施肥効果を高め、土壌水分を保ち、太陽熱の吸着を高めるなどさまざまな作用があります。
阿波たけのこ農園の教えとして、「たけのこを掘った穴には、葉っぱなどをしっかり詰める」というものがあります。
やがて土に還り、タケノコになり、竹になる自然の循環も大切にしていきたいと思っています。
阿波たけのこ農園のブランドたけのこ「筍姫」はどこで買えるの?
さて、竹に適切な肥料を与えながら栽培した美味しいたけのこ「筍姫」
オンラインショップで注文を受け付けられるように準備を進めております(^^)
お店などでの販売は現在はありませんが、通信販売を中心に、その他直接販売・直接注文も受け付けております!
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参考文献: 新特産シリーズ タケノコ 栽培・加工から竹材活用まで・農文教・2010